高ポリフェノール食品が脳機能を維持・改善する

呼吸によって体内に取り込まれた酸素の数%が「活性酸素」になり、体内で免疫機能などの重要な役割を担っている。一方で活性酸素には細胞組織を傷つける作用があり、炎症,発癌,老化などにも活性酸素が関わっている。 例えば、体内の脂質が活性酸素によって酸化されると「過酸化脂質」になり、これが蓄積してゆくと皮膚のシミ・シワ動脈硬化などの原因になる。

ポリフェノール」は野菜や果実などに含まれる色素やあくの成分であり、それらには体内の活性酸素を消去する「抗酸化作用」がある。 ポリフェノールに分類される物質には、アントシアニン、イソフラボン、ルチン、カテキン、テアフラビン、クルクミン、ケルセチン、ルチンなどがあり、種類がとても多い。

食品に含まれる抗酸化作用のある物質としては、ポリフェノールの他にもカロテノイドビタミンA・C・Eが知られている。カロテノイドは緑黄色野菜・果物・魚介類に含まれる黄色や赤色の色素成分の総称であり、β-カロテン、リコピン(lycopene)、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチンなど多くの種類がある。

カカオ豆を原料としているチョコレートにはフラボノイド(ポリフェノールの一種)が多く含まれている。アメリカの968人(23〜98歳)に対して、チョコレートを食べる頻度と認知機能検査(MMSE等)の点数との関係を調査・解析した研究では、チョコレートを1週間に2回以上食べていた人の割合が 37.8% あり、チョコレートを摂取する頻度が多い人ほど認知機能が高い傾向があったことが報告されている。

健康な被験者37人(50〜69歳)を対象に、多量のフラバノール(カテキン類)を含むココア飲料を飲む群と、フラバノールを少量含むココアを飲む群に分けて、3か月間毎日ココアを飲んでもらった実験の結果では、多量のフラバノールを摂取した群の記憶力テストの成績が30〜40歳代の記憶力に相当する程度に向上したことが報告されている。

緑茶・紅茶・コーヒーの成分には、カテキン、テアフラビン、クロロゲン酸などのポリフェノールの一種が含まれている。60歳以上で認知機能が正常な被験者490人を対象に、緑茶・コーヒー・紅茶を飲む頻度を調べ、その5年後に改めて認知機能検査などを実施した結果を分析した研究では、軽度認知障害または認知症と判定された人の割合が、緑茶を飲まない習慣の人では 31.2% だったのに対して、緑茶を毎日飲んでいた人では 11.5% であった。コーヒー・紅茶を飲む習慣については、認知機能の低下とは関連していなかった。この研究では、緑茶を飲む習慣が認知症を予防する可能性が示された。

60歳以上の1305名を対象として、緑茶コーヒーの摂取頻度と認知機能の評価結果の関連について12年間のデータを解析した研究では、緑茶を1日1杯未満しか飲まない習慣の人々(全体の11.2%)と比べて、緑茶を1日2杯以上飲んでいた人々(79.7%)では、認知機能の低下リスクを表す数値が約30%低かったことが報告されている。コーヒーについては、全体として飲んでいる量が少なく、ほとんど飲まない人が4割もいて、摂取習慣と認知機能との関連性は認められなかった。

カレー粉の原料に含まれるポリフェノールの一種のクルクミンには、抗酸化、抗炎症、抗癌などの作用があると報告されている。動物実験では、クルクミンを摂取させた場合に、脳内でのアミロイドβ(アルツハイマー病に関わる有害蛋白質)の沈着が抑制されたり、学習能力が高まることなどが確認されている。

51〜84歳の被験者(患者)40人を対象に、クルクミンを含むサプリメントを服用する群と、含まないサプリメントを服用する群に分けて、それぞれ毎日服用してもらい、半年ごとに認知能力テストを行った1年半に及ぶ試験の結果では、クルクミンを服用した群の28%で記憶力の向上が認められ、気分の改善も認められたことが報告されている。

50〜69歳の男女43人(プラセボ群:44人)に、カレーのスパイスとして使われるターメリックの成分を含む特別な食品を12週間摂取してもらい、慢性炎症の指標である「高感度CRP値」の変化を調べた試験では、ターメリック群はプラセボ群と比べてCRP値が低い傾向が確認され、ターメリックが慢性炎症を改善する可能性が示された。慢性炎症はアルツハイマー病を含む多数の疾患に係わっていることが報告されている。さらに、血糖値の変化を調べた試験でも、ターメリック群の方が血糖値が低い傾向が確認された。

[Updated 2024-01-21]