身体の"糖化"を抑えて認知症を予防

血液中に余分なブドウ糖があると、臓器、皮膚、筋肉、血管、神経などの全身の組織を構成する蛋白質に糖が結合し、組織を変性させる「糖化」が起きる。高血糖の状態は、そうでない場合よりも糖化を促進するので、身体機能の低下や老化を早めることになる。

糖化によって出来た物質は「AGEs」(糖化最終産物)と呼ばれ、それらは皮膚の弾力性の低下、肌のクスミ、組織の炎症、骨質の低下、糖尿病合併症動脈硬化アルツハイマー病などに関与している。

糖尿病の人は、そうでない人と比べて、アルツハイマー病や血管性認知症約2倍なりやすいと報告されている。また、最近の平均的な血糖値を表す「HbA1c値」が正常値をこえてより高い人ほど、加齢に伴って認知機能が低下しやすいことを示した報告もある。

AGEsは食品を加熱調理することによっても発生し、特に揚げたり炒めたり焼いたりした食品には多く含まれる。また、食品を高温(120℃以上)で調理することによって、アクリルアミド等の発がん性物質も生成される。

アメリカ国立衛生研究所の PubMed Central には、様々な食品(549例)に含まれるAGEs量のリスト(AGE Content of Foods)が収録されている。 その中でAGEs含有量の多さが目立つ食品としては、ビーフ・フランクフルト、牛ひき肉炒め、ビーフ・ハンバーガー、ロースト・ビーフ、ビーフ・ステーキ、ロースト・チキンBBQ、焼き鶏肉、クリスピーチキン、フライドチキン、チキンナゲット、ベーコン炒め、ポークチョップ炒め、ポーク・ソーセージ炒め、マグロ・ステーキ、豆腐ソテー、ビッグマック、フィレオフィッシュ、焼きマカロニ・チーズ、などが挙げられている。

食後の血糖値の上昇度は飲食物の性質によって変わる。消化吸収が早い糖質の割合が高い食品を沢山食べるほど血糖値が上がりやすい。しかし、同じ炭水化物である食物繊維は糖質の消化吸収を抑えて血糖値の上昇を緩やかにする。また、食物繊維を多く含む食品には、腸の働きを改善したり慢性炎症を抑える作用もある。

食後に血糖値が上昇しやすい食品(Glycemic Index=70以上)としては、精白米:83、赤飯:76、もち:80、うどん:85、マフィン:75、食パン:91、フランスパン:93、ベーグル:75、ロールパン:83、クッキー:70、シフォンケーキ:80、ショートケーキ:82、ドーナツ:86、ワッフル:80、煎餅:80、などがある。(→白澤式ケトン食事法/かんき出版)

パンや白米などの糖質の多い食品を食べる前に、蛋白質が多い魚・肉・卵や、ヨーグルトなどの乳製品、食物繊維が多い野菜・海藻・キノコ類、酢の物、レモン果汁を摂取すると、食後の血糖値の上昇を緩やかにして糖化を抑制できる。逆に、野菜や肉・魚を食べずに菓子パンだけで空腹を満たしたりすれば、食後の高血糖状態を生じやすい。

食後2時間以上たっても血糖値が正常値まで下がらない「食後高血糖」の状態を防いで「HbA1c値」を正常範囲内に保つことは、糖尿病の合併症を予防するだけでなく全身の老化の進行を遅らせ、認知症の予防にもつながる。

慢性的な高血糖糖尿病を予防・改善するためには、歯周病の予防や治療も欠かせない。高齢になるほど歯が失われてゆく最大の原因が歯周病である。そして、残っている歯が多い人ほど認知症を発症しにくいことが報告されている。また、歯周病と糖尿病は双方向に悪影響を及ぼす関係性があり、歯周病を治療することによってHbA1cの値や慢性炎症なども改善することが期待できる。

[Updated 2024-01-20]