個人,家庭で実行する地震・津波防災

「震度6強」の揺れの体感と建物などの状況

屋内では、固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。人は立っていることができず、はわないと動くことができない。 屋外では、壁のタイルや窓ガラスが破損・落下する建物が多くなる。 自動車の運転が困難(5強〜)となる。

木造建物で耐震性が低いものは、瓦が落下したり、壁などに大きな亀裂が入るものが多くなり、傾いたり倒れるものが多くなる。 鉄筋コンクリート造の建物で耐震性が低いものは、壁、梁、柱などの部材に斜めやX状の亀裂がみられることがあり、1階や中間階の柱が崩れて倒れるものがある。

地盤には大きな地割れが生じることがあり、液状化が生じる(5弱〜)こともある。 斜面等ではがけ崩れが多発し、大規模な地すべりや山体崩壊が発生することがある。

安全装置のあるガスメーターの場合は、自動的にガス供給が止まる。 ガス、水道、電気の供給が、地域単位で止まることがある。

高層ビルの上層階では、震源地から遠い地域でも、振幅の大きな揺れが10分間以上も続くことがあり、固定されていない物が大きく移動することもある。

住居内の地震対策

震度5強以上の地震の時は、固定していないピアノ、冷蔵庫、タンスが移動・転倒したり、電子レンジやテレビが転落したりする。重い物が倒れたり落ちたりして体に当たると、大けがをする恐れがある。 棚の中の食器や本などが強い揺れで飛び出さないよう、普段から工夫する必要がある。 居室・寝室は優先的に地震対策が必要。 寝床の近くには、懐中電灯、防災用の笛、運動靴などを常に置いておく。 室内ドアの外側に重い物が倒れたりすると、室外に出られなくなるおそれがある。

耐震性の低いマンションなどでは、柱などの変形によって玄関ドアが開かなくなる場合がある。バールなどを使ってドアをこじ開けられない場合は、ベランダの仕切り板を蹴り破って移動し、同じ階の住人に協力してもらい脱出する。 ベランダに避難はしごが設置されていれば、それを使って自力で下の階へ降りることも出来る。

分電盤感震ブレーカーではない場合は、大きな揺れでも電気が切れないので、電気コンセントや電源タップにホコリが付着していたり、揺れに伴って花瓶や水槽の水がかかったり、電気配線が傷ついたりすると、電極・電線から火花が出て火災を起こす恐れがある。 電気ストーブ/ヒーターは、揺れただけでは電源が切れない製品が多いので、使用中の強い揺れの影響で高温部分に可燃物が落下・接触し、そのまま通電した状態が続くと、発火する恐れがある。 屋内で多くの物が落ちたり倒れたりした状態で停電した場合は、送電再開による通電火災を防ぐため、分電盤のブレーカーを切っておく。避難する時も、安全のためブレーカーを切っておく。

磁気ディスク(HDD)内蔵のデスクトップPCを使用中だったり、ビデオ録画機で録画・ダビングしている最中に突然停電すると、バックアップ電源(無停電装置)を使っていない場合は、保存中のファイルが壊れる可能性がある上に、HDDの修復が必要になることもある。

火災等を防ぐ為の分電盤の復元手順

大地震後に分電盤のブレーカーを入れる=元に戻す時は、ショート漏電による事故を防ぐため、先になるべく多くの電源プラグを抜いておく。もし電線が傷んでいたり断線しかけている個所があれば、通電によってショートして火花が飛んだり発熱・発火する恐れがある。

次に、各部屋に繋がる「安全ブレーカー」をすべて切り、主幹の「漏電ブレーカー」(及びアンペアブレーカー)を入れ、一つの部屋の「安全ブレーカー」を入れる。 もしその部屋で確実なショートや漏電があればブレーカーが切れる。発火する恐れがあるので、その「安全ブレーカー」は二度と入れ直さず、切ったままにしておく。

そして再び「漏電ブレーカー」(及びアンペアブレーカー)を入れ、他の一部屋の「安全ブレーカー」を入れる。 ブレーカーが自動で切れなければ、すみやかにその部屋の通電状態や隠れた配線の異変を確かめる。もし異変(音や臭気)があれば、入れた「安全ブレーカー」を急いで切る。

ブレーカーを入れた部屋が異状なしなら、順次未確認の一部屋の「安全ブレーカー」を入れ、同様に異状の有無を確かめる。 ショートや漏電の原因が、コンセントに繋がっている延長コード電気製品にある場合もある。もし、すべての電源プラグを抜いた状態でもブレーカーが切れる部屋があれば、切れた「安全ブレーカー」だけをさわらずに電気工事業者に調査を依頼する。

住宅の耐震性能の強化

1981(昭和56)年6月に建築基準法が改正され、耐震性能が強化された。それ以前の「旧耐震基準」によって設計された建物は、震度6の揺れで大破したり倒壊する恐れがある。 1981年以後の「新耐震基準」では、数百年に一度程度の極めて稀な大地震でも建物が倒壊しないように設計することになっている。そして2000(平成12)年6月には、阪神淡路大震災(1995)での建物被害の経験を受けて、木造住宅の耐震性に関する基準を明確化するなどの法令の改正等が行われた。

"平成28年熊本地震"では震度6弱以上の地震が7回も発生した。その際の建築物被害を分析した国交省の報告によると、旧耐震基準の木造建築物は約46%が倒壊・大破したが、2000年以降の木造建築物では倒壊・大破したのは約6%であった。

「緊急地震速報」直後の行動

緊急地震速報は、気象庁が検知した初期微動から「震度5弱以上」の揺れが起きると予測された時に、「震度4以上」の揺れが予想される地域などを、テレビ・ラジオ放送や携帯電話の警報機能などによって、視聴者・利用者・住民に一斉に速報するもの。

陸上の断層で起きた地震の場合、震源に近い場所では、地震の主要動3秒後には地表に伝わる場合があるので、大きく揺れ始めた後に緊急地震速報が届く可能性がある。 地震波の初期微動(P波)は小刻みな揺れであり、主要動(S波)に比べてエネルギーが格段に小さい。揺れ初め上下動に近い弱い振動を感じた時は、直後に大きな横揺れが来ると考えて、即座に安全を確保する行動をしたほうが良い。

津波からの避難

わがまちハザードマップ:津波ハザードマップ(国土交通省)
沿岸自治体の多くが「津波浸水予測図」などを作成して、各自治体のウェブサイトで公開している。このサイトでは、津波ハザードマップ等を公開している自治体のページにリンクしている。予想される津波被害の特徴や推奨される津波避難場所などは地域によって異なるので、居住地や移動先の自治体が公表している防災情報を平時に理解しておく必要がある。
避難に車を使うべきか
老人や病人、身体障害者などの要援護者の緊急避難には、支援者とクルマが必要になるだろう。しかし道路の大渋滞によって身動きが出来なくなれば、結果として逃げ遅れて大津波に流されるかもしれない。朝夕の混雑時間帯に渋滞する道路は、津波警報の時も渋滞するだろう。大地震後の道路は信号機が消えたり、障害物などにより走行不能になる箇所も生じやすい。大地震後や津波警報が発表されている時は、特定の区域において道路管理者や警察により交通規制が実施される可能性が高い。

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[Updated 2024-03-26]